2020年は、ナイチンゲールの生誕200年。クリミア戦争で、“ランプをもった淑女”と称えられたナイチンゲールですが、伝記を読むと、科学的な能力をもち、強い信念で行動した人であることがわかります。
下水の上に建てられ汚物にまみれた兵舎病院には、赤痢やコレラが蔓延していました。38人の看護師を指揮し、食事の工夫や病室の衛生管理から始め、傷病兵の献身的な看護を続けて信頼を得ます。帰国後は、ずさんな軍の病院経営について徹底した調査統計をまとめ、医療改革を訴え続けます。多額の寄付を基にナイチンゲール基金を創設、看護婦養成学校を設立し、高い専門性を備えた看護婦の育成に務めました。『看護覚え書』を著し、今日の看護の礎を築いたパイオニアです。(本書では『看護について』と訳されています)
当時の状況を伝える絵画、本人や周囲の人々の言葉を引用して書かれた伝記シリーズです。
推薦者:田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に、本や昔話を楽しんで、28年目になりました。公共図書館や幼稚園でも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)