晩秋の一日、美しい水彩画と写真でつづられた落ち葉の本を開いてみませんか?
黒姫山の林で、オオバヤナギの落ち葉と出会った著者は、その美しい姿を残しておきたいと、一枚の絵に描きました。それから毎年、さまざまな落ち葉を丹精こめて描き続けます。
モミジ、イタヤカエデ、ヤマブドウ…。鮮やかな赤や黄色、夏の名残の緑がそれは美しく、一枚一枚が違った表情で輝いています。薄茶色に透きとおるホオノキや、朽ちて葉脈だけになったコブシの絵は、葉に宿る命まで写しとっているようです。
著者は、落ち葉が形を変えていく長い時間を想像し、落ち葉の中に丘や森、湖があると感じたそうです。小さな自然を敬い、心を遊ばせる和子さんの絵と、澄んだ林の空気まで伝える英三さんの写真を味わってください。
推薦者:田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に、本や昔話を楽しんで、28年目になりました。公共図書館や幼稚園でも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)