日本各地に語り伝えられている「三まいのおふだ」の昔話絵本です。
長岡市出身の水沢謙一さんの再話により、新潟の方言で書かれていて、まるで語りを直接聞いているようです。
寺の小僧が山へ行き、日が暮れて道に迷い、お婆の住む一軒家に泊めてもらいます。小僧が夜中に目を覚ますと、お婆は恐ろしいおにばばになって小僧を食べようとしています。小僧は便所に行きたいと言っておにばばの手を逃れ、便所の神様から「三まいのおふだ」をもらって逃げ出しますが、おにばばが後から追いかけてきて…。
おにばばと小僧さんの掛け合いがおもしろく、擬音語がたくさん使われていて臨場感たっぷりです。はらはらどきどきしながら、ストーリーにどんどん引き込まれていきます。ページいっぱいに描かれている挿絵が柔らかく温かみがあって、怖い中にもユーモアがあふれています。
小僧さんがやっとお寺に着いたと思ったのに、和尚さんはのんびりしていて…。
最後は和尚さんとおにばばの知恵比べ。おしまいの言葉は「いちご さかえた なべのした ガリガリ」。新潟の昔話の定型的な終わり方のひとつです。
作者の水沢さんは小学校の教員をしながら、フィールドワークで新潟県内の昔話をたくさん採集し、子ども達に伝えてこられました。この絵本の他にも多くの本が出版されています。
2月27日(土)BSNラジオ 朝9時~ 「大杉りさのRcafe 」内「はぐくむコラム」で放送予定。
推薦者:有本 教子(新潟県立図書館司書。こども図書室担当。2女1男の母。)
さて、新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。