小さな子どもって、押し入れの中や家具のすき間、テーブルの下など、自分だけのお気に入りの場所があることが多いですよね。
末っ子のハナはお昼寝をするのも、本を読むのも、絵を描くのもテーブルの下。大好きな物に囲まれてくつろぐ自分だけの特別な場所です。ところがある時、パパとママが大掃除をすることになり、テーブルの裏にクレヨンで描いた絵が見つかってしまいます。
でも、この後のパパとママの対応が、ほんとに素敵です。大人はこういう時すぐさま叱りがちだけれど、このパパとママはその言葉をちょっとのみ込んで、ハナの反応を待ちます。そして、ハナは自然とごめんなさいと言い、それからパパとママはユーモラスで愛情溢れる提案をするのです。親のあり方や子どもへの言葉がけまでも考えさせられてしまいますし、何より読み終えた後の幸福感が大きいです。
推薦者:田野辺 淳子(絵本の家「ゆきぼうし」副代表。「ゆきぼうし」のある守門村(現魚沼市)で子育てをするため、2001年に新潟市西区から家族で移住。以来、「ゆきぼうし」スタッフの活動を続ける。現在は、高校で書道講師として勤務。)