幼児絵本の定番「がたんごとんがたんごとん」を描いたのは安西水丸さんですが、この他にもたくさんの絵本を描いています。
その中でも、水丸さんの独特の世界感がきわだつ作品が「ふりかえりおじさん」です。
小高い広場にいるハットをかぶったひとりのおじさんが後ろを向いて立っています。そのおじさんを呼ぶと振り返るのですが、その表情が毎度違う。なんといってもおじさんです。かわいくもないですし、ちょっと意味不明なところもあります。
実際は、見知らぬおじさんに声をかけるなんて、おそらくないでしょう。本のなかでしかできない世界かもしれません。
おじさんという変な生きものと初めて遭遇することになるかもしれない絵本。これは希少な本です。
中山 英(萬松堂本店店長兼出版社島屋六平出版営業課長。1児の父(3歳娘)育児と読書の日々を過ごしています。)