『はらぺこあおむし』の作者、エリック・カールさんが亡くなりました。鮮やかな色にあふれた、しかけや謎ときのある数々の絵本は、私たちを楽しませてくれます。本書も、驚きのしかけ絵本です。
小さいかえるの誕生日にやってきた赤ぎつねは、どう見ても緑のキツネ。ところが、じっと10秒見つめて、白いページに目を移すと、あら不思議、赤いきつねが現れます! 黄色のちょうは紫に、青いねこはオレンジに…。幻のように浮かんでくる動物たちが見えた子どもは、歓声をあげます。これは、ドイツの詩人ゲーテが解明した “補色(色残像)” という現象だそうです。
20年程前、柏崎ソフィアセンターで開かれたカールさんの原画展で、“コラージュ”の技法に感嘆しました。大きな長方形の薄紙に色を塗り、その上にさまざまな色や模様を塗り重ねたシートが何十枚も! それを切って、貼り合わせて、生まれた絵の美しかったこと。
色やデザインのもつパワーに満ちた、元気をもらえる絵本が、たくさん遺されました。あらためて、ページを開いてみませんか?
田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、29年目になりました。公共図書館などでも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)