新潟県出身で、批評家でもあり随筆家でもある若松英輔さんが、コロナ禍に様々な場所で話したり書いたりした文章をまとめたエッセイ集です。
語られるように書かれている文章は読みやすく、新型コロナウィルスの脅威のなかで、それぞれが厳しい状況を強いられている私たちに寄り添います。
若松さんは「コロナ禍は、これまでも身の回りにあったのに見過ごされてきた、さまざまな弱さをあぶり出した」と言います。そして「弱さを克服して強くなろうとするのではなく、弱さを肯定することから生まれるもの」があるといい、それについて、
先人の言葉や現代のリーダーの言葉を引用しながら考えます。さらに、近くにいる人たちと「さわる(触る)」「まじわる(交わる」」「むれる(群れる)」のではなく、離れた場所にいる人と人とが「ふれる(触れる)」「つながる(繋がる)」「つどう(集う)」ことが求められ、そのために重要なのは「言葉の力」だと述べています。
文中には、心に刻みたい「言葉」がいくつも出てきて、まさに今、読んで考えたい一冊です。
推薦者:有本 教子(新潟県立図書館司書。こども図書室担当。2女1男の母。)
さて、新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。