かわいらしい箱の中に、子どもの手のひらにすっぽり収まる絵本が4冊入っています。子どもたちはその小ささがうれしいのか、いそいそと借りていき、図書館の本棚に残っていることがありません。
『アメリカワニです、こんにちは-ABCのえほん』は、ワニの親子が教えてくれるAからZまでのゆかいな言葉の絵本。
一人ぐらしのジョニーくんの家に、次々と9匹の動物がおしかける『ジョニーのかぞえうた』。
「1くち ススス 2くち ススス」。1月から12月まで春夏秋冬大好物を味わう『チキンスープ・ライスいり-12つきのほん』。
一番人気は、お父さんお母さんの言うことを絶対きかず、「ぼくしらない。」をくりかえして、ライオンにのみこまれてしまう強情っぱりの話『ピエールとライオン-ためになるおはなし』。
ユーモアたっぷりの展開を楽しむうちに、子どもたちは(特に英語圏では)、言葉や数、お返事まで覚えてしまうはず。神宮輝夫の名訳も、リズミカルでつい口ずさみたくなります。
ボロボロになり、時には行方不明! になりながら、子どもたちに愛され続ける幸せな本たち。ちょっと大きめの版もあります。
*神宮輝夫氏が2021年8月にお亡くなりになりました。『かいじゅうたちのいるところ』『ツバメ号とアマゾン号』シリーズなど、たくさんの英米児童文学を翻訳し、海外作品の面白さを伝えてくださいました。心から感謝しご冥福をお祈りします。
田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、29年目になりました。公共図書館などでも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)