駅前のバス停でお客さんを乗せて、花見山入り口行きのバスが出発しました。
「ピンポン。」と鳴るとバスが止まり、たくさんのお客さんが乗ってきます。スーパーの前では買い物袋をもった人たちが。学校前では黄色い帽子の小学生。病院前では風邪をひいた人と、けがをした人…。町を通りぬけて橋を渡ると、稲刈りの終わった田んぼや紅葉の山々が見えてきました。
バスの中にも小さなドラマがあります。お年寄りに席をゆずる人やひっくり返った荷物を拾ってあげる女の子。忘れ物を手渡しにバスを降りる運転手さん。みんなの優しさに、笑顔があふれています。
細かく描きこまれた絵には、さがし絵の楽しみがいっぱいです。働く車がたくさん登場し、車好きの子は大喜び。私は、どのお客さんがどこで乗ってどこで降りたか、虫眼鏡を使って確かめました! 夕景色のラストシーンも、きれいですよ。
*続編『うみへいくピン・ポン・バス』(竹下文子・作 鈴木まもる・絵 偕成社)もあります。
田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、29年目になりました。公共図書館などでも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)