絵本から物語へ読み進んでいく時期には、挿絵のたっぷり入った楽しい短編集を読んでやることをおすすめします。お話の面白さにつられて「本」を手に取り、自分で読み始める子どもを何人も見てきました。
この新刊には北欧を中心に、お国柄の感じられるお話が10編載っています。アンデルセン作「マッチ売りの少女」、ノルウェーの昔話「海の水はなぜからい」は、クリスマスにぴったりです。北米先住民の「コヨーテとセミ」、アイヌの「腹のなかの小鳥の話」には、思わず笑ってしまいます。
めったに行くことのない国や、出会う機会の少ない民族のお話を読むことは、子どもの目を世界に向けて開く第一歩だと思います。
二つの日本のわらべ唄も愉快です。「おてぶしてぶし」は、両手を合わせた中に小さな物を入れて歌い、おしまいにどっちの手に入っているかを当てる、子どもが大好きな遊び歌。楽譜とやり方もあるので、一緒に遊んでくださいね。
田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、29年目になりました。公共図書館などでも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)