小学生のまみこちゃんが学校に行く前にお母さんに投げかけた言葉から、お母さんは家の中を行ったり来たりして探し物をすることに。まみこちゃんたち家族のお互いを想う心があたたかい物語です。
作者の瀬田貞二氏は自著『絵本論』で「本を読むと字をおぼえるとか、論理をよくのみこむとか、いろいろのためになる点を数えたてる人たちがありますが、子どもにとって本の功徳は、物語のひらいてみせるふしぎな世界にわれを忘れて、わくわくさせられるあの楽しみのほかに、なにがあげられるというのでしょう。」と述べています。
子が親へ手紙を書くことや記念日を祝うことも感動的ですが、まみこちゃんの笑った顔やおかあさんの楽しそうな様子、家族でプレゼントをのぞき込む団らんの雰囲気をこそを、この絵本は伝えてくれます。
曽我 祥子(豊栄図書館 司書)