東京子ども図書館は、これまでにいくつもの子どもの本のブックリストを提案してきました。

本書は，2012年の『絵本の庭へ』，2017年の『物語の森へ』に続く「児童図書館基本蔵書目録」シリーズの第３巻で，2022年に出版されました。これら３冊は，絵本→物語の本（フィクション）→知識の本（ノンフィクション）と子どもの本の広がりを，庭→森→海という言葉でうまく表しているということを感じました。

ノンフィクションの本は，フィクションの本と異なり，情報がすぐに古くなってしまい残りにくいという特性があります。本書の編集においても，その点にご苦労されたようで，刊行年が古い作品であっても特に優れた本は収録すると同時に近刊のものにも目を配られたとのことです。

デジタルで情報が入手できるようになった現代にこそ，デジタル読書と並行して，ノンフィクションの本を読むことの価値が高まってきているように思います。

推薦者：足立幸子（新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。）