まず、木の椅子の中を想像してみます。ページをめくると、その椅子のX線写真が出てきて、20本の鉄の釘がその椅子のどこでどのような方向で使われているかが分かります。絵本の「めくる」という機能をフル活用していて、その中はどうなっているかという問いに対して、読み手は想像を働かせて自分の答えを用意し、その上でめくって答え合わせをすることができます。問いの設定も次第に高度になっていって、そっくりな生花と造花を同時に出したり、箱に入っているクリップに、箱の外から磁石を近づけるとどうなるかを考えさせたりします。
福音館の「かがくのとも絵本」で、今述べたようにX線とめくりだけを利用した単純なつくりではありますが、とてもうまくできていると思います。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)