つとむは、おかあさんといっしょに出かけたアンティーク・ショップで、『トムと3時の小人〈下〉』という赤い表紙の古本を見つけます。気になりましたが、その時は買いたいと言い出せなかったので、後日、図書館で読んでみることにしました。その本には、トムという少年が夏休みにおばあさんの家に行って小人に出会ったという不思議な物語が書いてありました。しかし、それはつとむの現実の体験ととてもよく似ていたのです・・・・・・。
この本は、つとむのストーリーと古本の物語が二重構造になっているファンタジーです。絵や装丁も美しく、つとむの現実の物語と古本のストーリーを語る字のフォントが区別されていて、二重性が視覚的に分かりやすくなっています。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)