まりーちゃんと羊の“ぱたぽん”は、大のなかよし。ぱたぽんが子どもを生んだら、その毛を売って好きなものが何でも買えるわね、とまりーちゃんは話しかけます。2ひき生んだら新しいくつ、3びきなら赤い帽子、4ひきならお祭へ行ってメリーゴーラウンドに乗れるのよ、と夢はどんどんふくらみます。
けれども、ぱたぽんはそのたびに、「でも、わたしたち、みどりの はらっぱに すむでしょう。はらっぱには、ひなぎくの はなが きれい きれい、おひさまが いちんち きらきら。」だから、そういうものはいらないわ、と答えるのです。
さて、ぱたぽんは何びき子どもを生んだのかな?
温かな色合いの可愛らしい絵や、「ぱたぽん…」「まりーちゃん…」とかけあう会話の響きがここちよくて、思わず笑顔になる絵本です。
ぱたぽんの言うとおり、花いっぱいの春の野原で大好きな友達といっしょにいられるって幸せなこと、と思います。
もう一話、迷子のあひる“までろん”をさがしに行く「まりーちゃんのはる」も入っています。シリーズは他に3冊あります。
田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)