大人の本棚・こどもの本棚

いちごばたけのちいさなおばあさん

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ショートケーキの上の真っ赤ないちご。う~ん、おいしそう。
あなたはいちごが真っ赤に色づくわけを知っていますか?

いちご畑の土の中に住んでいるのは小さなおばあさん。おばあさんの仕事はいちごに色をつけることでした。

ある年のこと、春はまだまだ先だというのに雪のかわりに雨が降ってきました。おばあさんは階段を100段登って外の様子を見に行きました。なんと、いちご畑は青々とした葉を広げています。おばあさんはびっくり。
「まあ、たいへん。これでは はながさくのもまぢかだわ。あたしはいろをつけなきゃならないわ」おばあさんは慌てて100段の階段を駆け降りました。

水がめにはお日様の光を吸い込んだ水がまだほんの少ししかありません。おばあさんは地下へのトンネルを降りて深いところの湧き水を汲んで登ります。何回も何回も登ったり降りたり。それから土の中のみどりの石を掘り出して砕きます。夜も昼もかつ、かつ、かつ、かつ、かつ。

砕いた石をお日様の光をたっぷり吸いこんだ水がめに注ぎます。まあ、不思議。ぱっと、赤い色ができあがりました。おばあさんは赤い水をバケツに入れ、はけを持って100段の階段を登り、いちごを次々に赤く染めていきます。おばあさんは階段を1000回も登ったり降りたりして夕方、ようやく染め終わりました。疲れ切ったおばあさんは土の中へ戻りひと眠りしました。

次の朝、おばあさんが土の上に出てみるとあたり一面、真っ白な雪の原になっていました。
「なくなっちまった。なくなっちまった。あかいいちごがなくなっちまった。」
とおばあさんは泣き出しました。さあ、おばあさんのいちごはどうなってしまったのでしょう。

この続きはぜひ絵本で読んでくださいね。真っ赤ないちごが無事でありますように…。

この絵本は50年もの長い間読み継がれ、愛されている物語です。

ファンタジーとわかっていても、ちいさなおばあさんがとても身近に感じられます。ちなみに、
働き者のおばあさんのモデルは、作者・わたりむつこさんのおばあさんだそうです。

推薦者:野上 千恵子(新潟県立図書館子ども図書室有志の会代表。元図書館司書。新潟県立図書館、県立高校図書館を経て、新潟市の小・中学校図書館に勤務。子どもたちとお話や本の世界の愉しさを分かち合っています。)

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