正直者で誇り高いガチョウのガーウィンは、王室の宝物殿の見張り役主任です。王さまからの信頼も厚く、たくさんの友達からも頼りにされて、幸せに暮らしていました。ところが、宝物殿から、宝物がぬすまれたことが分かったのです。宝物殿の鍵は、王さまとガーウィンしか持っていません。裁判にかけられ、王さまや友達から疑われたガーウィンは、悲しみのあまり、街を抜け出します。ところが、そのどろぼうの真犯人は意外なところにいたのでした。
推理小説のようなタイトルですが、推理小説ではありません。絵本の名手、ウィリアム・スタイグが書いた幼年文学です。犯人のどろぼうに至る心の迷いや、人間に備わっているねたみ、疑いなどの負の感情が、シンプルな動物のおとぎ話の中にうまく表現されています。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)