舞台は、近未来の社会です。この社会では、子どもたちは皆、自分の進路や職業を選ぶことはせず、最も適切な職業・役割が社会の〈長老〉から割り当てられます。主人公のジョナスは、〈12歳の儀式〉を経て、その社会が忘れ去った記憶を一手に預かっている「ギヴァー」から記憶を受け取る「レシーバー」という役割を引き受けることになります。記憶を受け取りながら、安全という名のもとに社会が捨て去ったものを知り、社会の問題点に気付いたジョナスは、ある日、思い切った行動をとります。
ニューベリー賞受賞作です。当時、アメリカの読書会について研究していた私は、最初は原書をアメリカ人と一緒に読書会形式で読みました。その後翻訳書を知り、日本語で読んでもとても良い本だと思っていました。しかし、その翻訳書が絶版になり、本書は絶版を残念に思った全国の方々の努力によって、新しい訳で改めて出版されたものだそうです。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)