本書は、例の感染症の状況が改善されインバウンド客が増加したとか、佐渡島が世界遺産に登録されたとかいったニュースに触れ、私が個人的に、改めて観光についての本を読みたいと思って選んだものです。
観光「地理学」というだけあって、まず第一部では観光地を「空間」の視点で、すなわち、リゾート、自然、聖地、ヘリテージ、都市といった形で論じています。第二部は、ここのところが私は最も面白かったのですが、観光地をめぐる「人」について、分析しています。第三部は「新しい潮流」について、そして、第四部では隣接領域として観光社会学・観光人類学・観光心理学・観光歴史学・観光計画学という学問が紹介されています。
普段何気なく見聞きしているこんなことまでも観光と結び付けて考えられるのだと、とても面白く読みました。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)