著者のデビュー作『リズム』と、その続編『ゴールド・フィッシュ』が一つになった本です。
「リズム」の主人公・藤井さゆきは、マイペースに今を生きる中学1年生です。夢を追う年上のいとこ・真ちゃんを心から尊敬し慕っています。幼い頃から家族ぐるみで交流を深めていましたが、中学生になっても真ちゃんを慕うさゆきに、家族は眉をしかめます。真ちゃんは“不良”だから仲良くしない方がよい、と。
真ちゃんは金髪で、高校には進学せず、アルバイトをしながらロックバンドで歌っています。さゆきを心配する母、高校受験を控え勉強に励む姉は、真ちゃんのことをよく思っていないようです。さらに真ちゃんの家族にも事件が起き、さゆきは戸惑いを隠せません。家族とのすれ違い、姉との大ゲンカ、そして真ちゃんの引っ越しなど、次々と変化する周囲の環境に心を大きく揺さぶられ、頭の中は大混乱です。
そんな中、真ちゃんやその家族、さゆきの姉、そしてさゆきの友人たちも、それぞれ悩みと向き合っていました。それに気付いたさゆきは、真ちゃんから学んだ「自分のリズム」を意識するようになっていきます。
「ゴールド・フィッシュ」では、さゆきは中学3年生の受験生になりました。夢や目標に向かって邁進していたはずの真ちゃんや姉は、甘くない現実に直面していました。その姿に、さゆきは大きなショックを受けます。友人たちもいつの間にか成長し、置いて行かれたように感じてさらにショック。さゆきはいよいよ、自分自身と向き合い始めます。
音楽のリズムは、一定を保ちつつ時に変化しながら、豊かなメロディーを生み出しています。速くなるのも遅くなるのも自分のリズムの一部なのだと、今の自分そのものに寄り添ってくれる一冊です。
推薦者:佐藤江理子(新潟県立図書館司書。ユースコーナー担当)
推薦者:佐藤 江理子(新潟県立図書館司書。ユースコーナー担当)
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