大人の本棚・こどもの本棚

メイジー・チェンのラストチャンス

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ロサンゼルスに住む少女メイジーは、おじいちゃん(オパ)のお見舞いのためにママの故郷を訪れます。ミネソタ州にあるその町の名は「ラストチャンス」。メイジーは夏休みをラストチャンスで過ごすことになります。

おじいちゃんは、おばあちゃん(オマ)と共にレストラン「ゴールデンパレス」を営んでおり、そこはおいしいチャイニーズ料理のお店としてラストチャンスの人々に長く愛されてきました。
そんなゴールデンパレスの事務所で、メイジーは古い写真を見つけます。色あせた何十枚もの写真には、たくさんの中国系の人々が写っており、笑顔もなくこちらをじっと見つめています。写っている人たちは誰?メイジーは興味を抱き、オパに聞いてみました。

オパが語ってくれたのは、なんと150年近く前から始まる先祖の話。16歳で中国からアメリカに渡ったオパのおじいちゃん、つまりメイジーの高祖父にあたる「ラッキー」が、差別や偏見の中必死に生きた物語でした。ラッキーのことを知るにつれて、レストランの写真に写っていた人々のことも明らかになっていきます。

オパの話を聞いたメイジーは、先祖やその周辺の人々について自分の力で調べ始めます。ラッキーから始まった縁は、メイジーによって現在まで広がり、人々の絆を紡いでいきます。

この本に出てくる「ラストチャンス」は、架空の地名です。登場人物も架空の人物です。でも、ラッキーのように他国へ移民して必死に生きる人は、今この世界にもたくさんいます。メイジーが「中国系アメリカ人」であるように、他国にルーツを持つ人もたくさんいます。移民や歴史についてもっと知りたくなったら、メイジーのように調べてみるのもよいかもしれませんね。

 

推薦者:佐藤 江理子(新潟県立図書館司書。ユースコーナー担当)

新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。

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