
まちの先生が開業する「まちの動物病院」は、小さな町のはずれの、山のふもとにありました。そんな立地条件ですから、「まちの動物病院に」患者のペットを連れてくる人はあまりおらず、まちの先生は毎日ゆったりのんびりと診察をして過ごしていました。
ところが、実はこの動物病院には、まちの先生の知らない秘密があります。それは、夜になると、まちの先生の飼い猫のとらまるが医者として、こっそり同じ場所で野生動物を相手に「やまの動物病院」を営業しているのです。「やまの動物病院」には大流行りで、毎晩たくさんの動物がやってきます。ある晩、頭がビンから抜けなくなったカモがやってきて……。
昼間は昼寝ばかりしているとらまるですが、夜は医者として大活躍し、かっこいいのです。動物の患者と医者のとらまるの間の掛け合いが面白くて、ほのぼのと温かい感じがします。同じ作者が絵も描いていて、その温かさを倍増させています。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)
