
この本の主役は、まるで写真集のように見られる、美しい雲の写真です。そして、その雲の写真にまつわる疑問に対する科学的な説明が、Q&A形式で示されています。著者は、気象研究所の研究官です。
私がこの本について特に優れていると思うのは、4ページでひとまとまりの構成です。
まず見開き1ページ(つまり2ページ分)にメインの写真があり、そこに字幕をかぶせるように、短文の質問(Q)と答え(A)が示されます。そして次のページを開くと、2ページ分を費やしてさらに詳しい説明があるのですが、この説明にも必ず3枚以上の写真と時には分かりやすい図が添えられていることです。さらにいくつかには、QRコードが埋め込まれており、そこから著者自身による解説動画に飛ぶことができます。4ページで区切られているので、単発の話題として読めばいいのですが、一方、カテゴリーにも分けられているので、読み進めていくと、ひとまとまりの知識を得ることができます。
こんなに美しい写真がふんだんに入っているものなら、さぞかし価格がお高い本なのではないかと素人として考えたましたが、実は安価なものでした。コンパクトなサイズで柔らかく、気軽に見ることができます。気象に関心を持つ方へ、入門書として、年齢を問わずお薦めしたいです。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)
