
ナスレディンという人物にまつわる短いお話を集めた短編集です。短編といっても超短編で、一話は大体2・3ページ程度です。一番長くても5ページ、最も短い話はなんと5行で完結します。次々と短編が繰り出される様は、どんどん再生される秀逸なショート動画を見る感覚と似ているかもしれません。
主人公のナスレディンは、時に機転を利かせて問題を解決し、時に皮肉たっぷりのユーモアでその場をやり過ごします。日本でいえば一休さんのような、いわゆる「とんち話」です。
一方で、思わずツッコミを入れたくなるような話や、吹き出して笑ってしまうような話もたくさん収録されています。いったいナスレディンは真面目で賢い人なのか、そうでないのか。お茶目なのか、おちゃらけているのか。一冊の中に様々なナスレディンが現れ、読者は楽しく困惑させられることでしょう。
本書の訳者あとがきによると、ナスレディンは、トルコやイランなどアラブ・イスラム圏で広く知られている人物なのだそうです。アラブ・イスラム圏の各国、各地域で長く語り継がれてきたナスレディンの様々なお話を集めて、この本が作られました。長く広く語り継がれた結果、各地で多彩なナスレディンの姿が生み出されたと思うと、お話の奥行がさらに深まるように感じられます。
短いながらも興味深い話がたっぷり詰まった一冊です。読み進めるほど摩訶不思議なナスレディンの世界に引き込まれ、きっとお気に入りの一話に出会えるはずです。

推薦者:佐藤 江理子(新潟県立図書館司書)
新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。
