
新聞記者である著者は、戦時下の遺品を持ち主に返還する活動をしていたアメリカの非営利団体「OBON2015」に協力して、日章旗の持ち主を探すことになりました。その日章旗には「一郎くんへ」とあるだけで、持ち主の苗字は書いてありませんでしたが、寄せ書きに名前を書いた人々の苗字から、持ち主の出身地は静岡県であることが推測されました。著者は、昔の電話帳を手掛かりに、寄せ書きに名前を書いた人ではないかと思われる一人一人を訪ね歩き、ようやく一郎くんの親戚に会うことができました。
一郎くんに直接あるいは間接的に関わった人たちへの取材を通して、戦争の時代・戦後の時代を、人々がどのように生きていたのかを、著者は明らかにしていきます。戦争の話をどのように次世代につないでいくかは、現在大きな問題となっています。絵本というものがここに貢献する可能性を示してくれたように思いました。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)
