大人の本棚・こどもの本棚

ハヤ号セイ川をいく

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夏休み、11歳のデイヴィッドは、セイ川に流れついたカヌーを見つけました。持ち主を探すうち、お屋敷に住む少年アダムと出会い仲良くなります。アダムの家は名家で昔は裕福でしたが、今は没落し祖父とおばと3人で質素に暮らしていました。

ある日アダムはデイヴィッドに、先祖が隠した宝を探していることを打ち明けます。手がかりは、400年前に書かれた手紙と、宝のありかを暗示する詩、それから先祖の肖像画だけでした。二人は“ハヤ号”と名付けたカヌーをこいで、セイ川の周辺で宝探しを始めます。

牧草地や古い橋などを探し回り、今度こそ見つけた! と思っても失敗の連続。その上、宝を狙うあやしい男がつきまとい、どんどんスリルが増していきます。ページをめくる手が止まらず、とうとう屋敷を売って引っ越すことになった終盤、思わぬことが起こるのです。

作者の故郷イギリスの村を舞台にした物語は、情景が目に浮かぶように鮮やかです。家族や村人など、老いた人や若者たちが皆生き生きとして魅力的。屋敷を離れたくないアダムの焦りや、彼のために奔走するデイヴィッドの気持ちも、痛いほど伝わります。有名な画家の挿絵もすてきで、想像を助けます。

少年達の友情と謎解きと冒険の物語を、たっぷりとお楽しみください。(初版は1974年。本書は新訳です。)

 

田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)

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