「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「おさるがふねをかきました」などの童謡が有名なために、私はまど・みちおの詩を、知っていると思っていました。動物への優しいまなざしをかわいらしく、子どもにも分かる平易な言葉で綴っているのがその詩の特徴だと思っていました。
しかし本書は、詩人谷川俊太郎氏が編集し、単に平易なだけではない骨太なまど・みちおワールドを見せてくれるものになっています。例えば〈カといういのち〉という節には、命についてのエッセー1本と蚊が飛んできたらそれをたたいて殺してしまうことについての詩17編が収められておりが収められており、生きていることについての逡巡や洞察を感じることができます。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)