【小学4年生以上におすすめ】
物語の舞台はアメリカの学校です。少女ワンダはポーランド移民で、勉強についていけず、いつも独りぼっち。家も貧しく、毎日同じ青いワンピースを着ていました。ある秋の日、ワンダが「あたしドレス百まいもってる。」と言ったことから、“ドレスごっこ”が始まります。人気者のペギーを中心に、女の子達がワンダを待ちぶせし、「どんなドレス?」としつこく聞いてからかうのです。マデラインは悪いことをしている…とわかっていましたが、勇気がなく黙って見ているだけでした。その後ワンダは転校し、“百まいのドレス”の本当の意味がわかります。思い悩んだマデラインは、ある決意をするのです。
初版は1954年の「百まいのきもの」ですが、石井桃子の改訳と新たな装丁で美しい本になりました。人の間に起こる差別や、マデラインの揺れ動く気持ちが丁寧に書かれ、今なお胸に迫ります。学校でも、高学年の間で静かに読みつがれています。
田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に、本や昔話を楽しんで、27年目になりました。公共図書館や幼稚園でも、子どもと本をつなぐ活動しています。)