この本の書き出しは「はやい」ってなんだろう、という問いかけで、ウサギやイヌなど身近な動物と人間が競走をしたら誰が一番速いか比べています。
地上を走る動物の中で一番速いのはチーター。チーターより速いのは水の中を泳ぐバショウカジキ。それより速いのは空を飛ぶ鳥のハリオアマツバメ。
人間は走ったらこれらの動物たちより遅いけれど、もっと速い道具を作り出しました。新幹線、ジェット旅客機です。そして、ジェット旅客機より速いのは音、音より速いのは光・・・。では、このよでいちばんはやいものはなんでしょう?
ページをめくると「はやいもの」が次々と走り去る光景が目に浮かんできます。生き物や科学の進歩、自然の雄大さから遠い宇宙まで、世界が無限に広がっていき、最後には意外な答えが・・・。
目に見える「はやさ」と目に見えない「はやさ」。科学の絵本でもあり、文学的でも哲学的でもある素敵な絵本です。
推薦者:有本 教子(新潟県立図書館司書。こども図書室担当。2女1男の母。)