中学1年の初奈は、小学校での苦い経験から、中学校のクラスになじめず、毎日を窮屈な気持ちで過ごしていました。気軽におしゃべりできる友だちもなかなかできません。そんな初奈にとって、誰とも話さなくてよい「朝読書」の時間は気を楽にして過ごせる唯一の時間でした。
しかし、ある日の朝読書中、不思議な出来事が起きます。なんと、知らない学校の知らない生徒と入れ替わってしまったのです。入れ替わったのは意識だけ。朝読書の時間が終わると元に戻り、また翌日の朝読書に入れ替わりが起きます。なぜ初奈が、なぜ朝読書の時間だけ起きるのか。入れ替わった生徒は誰なのか。初奈は少しずつ、この不思議な事態に向き合っていきます。
そんな初奈は「ブックトーク」と出会います。1つのテーマで様々な本を紹介するブックトークは、人によって内容も雰囲気も多種多様。その面白さ、楽しさに魅せられた初奈は、ブックトークをきっかけに新たな一歩を踏み出します。
初奈、そして入れ替わった生徒・柚菜の物語を軸に、同級生や先輩など周囲の人物にもスポットライトがあたります。「本」というテーマで人々の想いをたどるストーリーは、さながら一種の大きなブックトークのようにも思えてきます。実際、物語の中では様々な本も紹介されています。もしかしたら、その一冊、この一冊が、皆さんが新たな一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。
推薦者:佐藤 江理子(新潟県立図書館司書。ユースコーナー担当)
新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。