学者の方が子育てする場合に、その類の本の中で読者が求めているのは、専門家ならではの視点で子育てをする、もしくは考えるという庶民が通常、子育てする中で獲得しえない新しい知見を教えてくれるのではないかという期待があります。脳科学者の池谷裕二さんも、音声学者の川原繁人さんも、それぞれの専門家から気づいた子育ての不思議は、まさに身をもって実践しているからこそ大いに参考になりました。

本書は社会学者の工藤保則さんの子育てです。社会学者は子育ての難局をどう乗り切るのか。こちらも社会学者としての物の見方で子育てを考えていました。子育てで「社会とつながりなおす」など、子育て世代にささる言葉がありました。

中山 英（萬松堂本店店長兼出版社島屋六平出版営業課長。1児（4歳娘）の父。育児と読書の日々を過ごしています。）