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AI倫理ー人工知能は「責任」をとれるのか

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AI(Artificial Intelligence人工知能)が私達の社会や生活をどのように変えていくのか、誰もが漠然とした期待と不安を持っていると思います。その不安の1つの正体を明かしてくれたのが本書です。AIとは、ビッグデータを上手に活用するための技術ですが、もしもAIが誤りをもたらした場合にだれが責任をとるのか、といった倫理的問題が解決されていません。

本書は二部構成になっています。前半にあたる「第一部〈理論編〉情報倫理からAI倫理へ」は4章から成り、西垣通氏が執筆しています。第一部では、AI倫理とは何かを述べるために、まず功利主義・自由平等主義・自由至上主義・共同体主義などの近代の倫理や、アシモフのロボット三原則に触れます。その後、AIは他律的存在なので、それ自体が人間のように固有の道徳観・倫理観などは持たないと述べ、人間自身が個々の道徳観をあわせ社会規範をつくっていくべきだと説いています。

後半にあたる「第二部〈応用編〉AI倫理の練習問題」は、河島茂生氏が執筆し、3章から成っています。車の自動運転、個人データの収集と分析による監視選別社会、芸術に関するAIによる創作の問題を取り上げており、いずれも大変興味深いです。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)

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