大人の本棚・こどもの本棚

アイウエ王とカキクケ公

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むかし、 アイウエ王国(おうこく)という くにが ありました。
王さまの なまえを アイウエ王(おう)と いいました。

(中略)

アイウエ王国の となりに、 カキクケ公国(こうこく)という くにが ありました。

この くには、 カキクケ公(こう)という よくのふかい 公爵が おさめていました。

・・・・

次に出てくるのは 「サシスセ僧(そう)」です。 では、その次は?

みなさんはもう、おわかりですよね。

これは、アイウエオ(ア行)から始まり、五十音が順番に登場する絵本で、「ことばのしかけ絵本」といってもいいでしょう。

五十音それぞれのことばがストーリーとピッタリ合っていて、「正義(善)が勝ち、悪が滅びる」勧善懲悪をテーマに物語が進んでいきます。最後の「ン」の登場も洒落ていて、声に出して何度でも読みたくなる絵本です。

原案は、大正から昭和後期にかけて、児童文学の世界で多方面に活躍した 武井武雄 さん。文と絵を描いたのは、幼少期(大正から昭和のはじめ)を新潟市で過ごした 三芳悌吉 さんです。

三芳さんは「あとがき」で、「わたしが育った北国の港町に活動写真館(映画館)が八つほどありました。・・・」と新潟での思い出を書いています。この「あとがき」を読むと、絵本の最初(標題紙)と終わりに、タキシードを着た老人が舞台にあらわれる意味がわかります。

 

推薦者:有本 教子(新潟県立図書館 司書。こども図書室担当。1男2女の母。)

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