大人の本棚・こどもの本棚

赤いめんどり

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冬の夜、貧しいけれど働きもののおばあさんの家に、やせこけた赤いめんどりがやってきました。おばあさんは温かい晩ごはんと寝床を用意しますが、性根の悪い飼い主の男が、めんどりを取り返しにきます。おばあさんがきっぱりと断って男を追い払った後、めんどりはかいがいしく家事を手伝い、見事な針仕事までするようになりました。ところが、暮らしが良くなったことをねたんだ男が、またやってきて…。

不思議な力をもっためんどりが、小さな奇跡をおこすクライマックスは、はっとするほど胸に迫ります。孤独でつましい暮らしの中で、心の通い合う尊い友を得たおばあさんは、どんなに幸せだったでしょう。

作者のアトリーは、日常にふと訪れるファンタジーの世界を目に見えるように鮮やかに語る名手です。この物語は、訳者や画家の異なる本が他に2冊ありますが、本書の絵がもっともお話に合っていると思います。1,2年生以上におすすめです。

田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)

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