初めてこの絵本を見たとき、「なんてきれいな色!こんなにさまざまな青があるなんて。」と目を奪われました。
フランスの絵本作家シムレールは、日暮れから夜が訪れるまでの時間に、青く染まっていく地球の生きものたちを、美しい絵と詩的な文章で描いています。
森でさえずるアオカケス、雪原を行くホッキョクギツネ、睡蓮の池のコバルトヤドクガエル。ページをめくる度に生きものたちが登場し、あたりの青色も刻一刻と深まっていきます。かぐわしい香りをはなつ花々も、海に浮かぶシロナガスクジラも、一日の終わりの静かな時間に心を鎮めていくようです。
見返しにも、「みずたまりいろ」「はればれとしたこころのいろ」など、作者が名付けた32種の青が並んでいます。絵本を読んだ後、身近な自然に目をこらし、耳を傾けたくなりました。
この夏休み、皆さんも五感をとぎ澄まして、自分だけの“色”や“音”を探してみませんか?
田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)