「明日、学校へ行きたくない」。でも、行かないといけないから、もやもやを抱え、時には泣きたい気持ちで向かっている。この本はそんな気持ちを抱えた人たちの「学校へ行きたくない」「居場所がない」「だけど、学校にいかなかったら将来どうなるの?」という不安に寄り添い、どうしたらいいか一緒に考える本です。
実際に寄せられた体験談を紹介し、そこに三名の専門家が「一緒に考える」形で対談を行い、関連コラムも寄せています。「一緒に考える」ので、答えが絞られず、専門家の間で意見が分かれることもあります。けれどそれは、安易な解決方法を示しておしまいにするのではなく、様々な考え方が出来る手がかりを示してくれている、とも言えます。
取り上げられている「学校へ行きたくない」体験談も、「クラスの雰囲気がよくない」「特に目標らしいものがなく勉強のモチベーションが上がらない」など、だれにでも起こりうるものばかり。悩んでいるのは自分ひとりじゃない、こんなやり方もあるんだ、という知識に触れることは、きっと「明日、学校へ行きたくない」と思う人の力になるはずです。
この本は「明日、学校へ行きたくない」と思っている本人だけでなく、「学校へ行きたくない」と言い出したクラスメートや子どもの気持ちを考えるヒントにもなります。参考になる本も紹介されているので、同じ気持ちを抱えている人にぜひ一度読んでいただきたい一冊です。
遠藤 真衣(新潟県立図書館司書。ユースコーナー担当)
新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。