主人公のドゥンネが、眠れない夜に、「あたしって、しあわせ!」と思ったことをかぞえる場面からこの物語は始まります。
ドゥンネは1年生になったばかり。学校で友達ができるか不安でしたが、エッラ・フリーダと仲よしになります。ふたりは何をするにも一緒。ときどきケンカもするけど、すぐに仲直りします。
ところが突然、エッラ・フリーダが引っ越してしまい、悲しみにくれるドゥンネ。
実はこれまでも大きな悲しみがあったことが、読み進めるとわかってくるのです。
親友との別れが悲しくて、学校でクラスの子とケンカをしてしまったり、ケガをさせてしまったり…
この本に描かれているのは、さりげない日常のお話ですが、子どもにとっては小さな出来事のどれもが一大事です。そんな中でドゥンネは、まわりの子と少しずつ仲よくなり、「しあわせ」と思えることを増やしていきます。
全編にわたって、つらい現実を単に反映したものでも、ハッピーエンドの夢物語でもなく、ドゥンネが希望を持ってまっすぐに生きる姿が描かれていて、生きることを肯定できる物語です。
推薦者:有本 教子(新潟県立図書館司書。こども図書室担当。2女1男の母。)
新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。