大人の本棚・こどもの本棚

シャーロットのおくりもの

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農場で生まれた子ブタのウィルバーは、あまりに小さくて殺されそうになりますが、娘のファーンに助けられ大切に育てられます。やがてウィルバーは近くの農場へ売られて行きますが、寂しくてたまりません。その時「お友だちになってあげるわ。」と声をかけたのが、納屋に巣を作っていたクモのシャーロットでした。無邪気で弱虫のウィルバーと、賢いシャーロットは心を通わせていきます。

ある日ウィルバーは、自分がハムになる運命だと知り、「死にたくないよう。」と泣きわめきます。するとシャーロットが「命はたすけてあげるから。」といって、奇跡の技を駆使するのです!

映画にもなったアメリカのベストセラーですが、単なる友情物語ではありません。幼いウィルバーを支える知恵深いシャーロットの存在が、とてもいいのです。生きものは他の命をもらって生きていくこと、やがて死を迎えること、生命のつながり。大切なことを身をもって伝える毅然とした姿に、感動を覚えます。かけがえのない贈りものをもらったウィルバーの成長も心に残ります。
農場の動物たちを生き生きと描いた挿絵も魅力で、冬休みにぜひ読んでほしい物語です。

田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)

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