はたらきもののえんどうまめばあさんとそらまめじいさんは、とても仲よし。でも、一つだけ困ったことがあります。何かをしていても他にやりたいことが見つかると、すぐに始めてしまうのです。
畑に豆の支柱を立てようとしたはずのおばあさんは草取りを始め、その草をうさぎにあげようとしたのに、こわれた小屋の金あみを見つけて、おじいさんを呼ぶ。おじいさんは金あみを直すはずが、屋根の修理にとりかかる、というぐあい。
それでも一日の終わりには、「きょうも よく はたらいた。」「ぐっすり ねむれるよ。」と満足して、ベッドに入ります。
松岡享子さんの遺作となったこの絵本は、手を動かしてまめまめしく働くことや、段取りよくいかなくても、支え合って楽しく暮らすことの大切さを、子どもにも大人にも伝えてくれます。読んでいると気持ちがやわらいで、ゆったりした時間が流れていくのを感じました。
降矢さんの絵もお話にぴったりで、“まめ夫妻”と動物たち、家や庭の様子をユーモラスに描いています。
田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)