本サイトのようなこどもの読書に関する情報サイトでは、ベストセラーよりもロングセラーの本の方がよく登場します。しかし、子育てをしている大人がベストセラーを読むことも、私は意味があることだと考えています。この本の原著は2018年の、そして翻訳本であるこの本は2019年日本の、ベストセラーだそうです。
ファクトフルネスとは著者の一人であるハンス・ロスリングの造語で、ファクトすなわち事実に基づいて世界を見る見方のことを言います。世界は分断されているという思い込みである「分断本能」や、世界はどんどん悪くなっているという思い込みである「ネガティブ本能」など、ファクトフルネスを邪魔する10の「○○本能」と、そうならないようにするための方法が、膨大なデータとともに示されています。
確かに世界は変化していくものですから、私達は過去の知識をアップデートし、先入観を廃し、事実から丁寧に学んでいく必要があるでしょう。そしてこの本に描かれたように世界は変わったのか、私はこの本を10年後にも読み直してみたいと思いました。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)