安野光雅さんが94歳で亡くなられました。「旅の絵本」や「ABCの本」など、多くの著作を残されました。安野さんの絵本を読んで育った子どもたちや、大人になって知った安野作品の美しい風景や芸術作品としての絵画集。各世代に多くの読者と、それぞれにとって思い出となる大切な1冊があると思います。
私が、あえて1冊といわれると「ふしぎなえ」です。初めて、だまし絵を見たのがこの作品でした。最初はどうなっているか考えこんでしまった記憶があります。迷路のように階段を上がっているのに、また最初に戻ってしまう。文がないから、これがなにかわからない。次のページをめくってもまた不思議な感覚に遭遇する。
本の楽しさを教えてもらった気がします。多くの作品がこれからも読み継がれていくことでしょう。謹んでお悔み申し上げます。
中山 英(萬松堂本店店長兼出版社島屋六平出版営業課長。1児の父。毎晩、絵本を読み聞かせるのが日課。)