大人の本棚・こどもの本棚

ふしぎなたいこ〈岩波の子どもの本〉

SNSでシェア

楽しい日本の昔話が3話入っている小型の絵本です。

初めは「ふしぎなたいこ」。げんごろうさんは、片側をたたくと鼻がのび、反対側をたたくと鼻がちぢむ、世にもふしぎなたいこを持っていました。人を喜ばせるために使っていたのに、げんごろうさんは自分の鼻でためしてみたくなります。「どんどこ どんどこ」たいこをたたき続けると、「にょき にょき」と鼻はのび、雲をつきぬけ、なんと天国まで届いてしまいました。すると天国の大工さんが、鼻を棒とまちがえて、天の川の橋のらんかんに縛りつけてしまったのです!さあ、げんごろうさんの運命やいかに⁉

短いながら、天国へ昇ったり琵琶湖に落っこちたりするスケールの大きな話で、子どもに読むと「エー!」と目をまん丸にします。
次の「かえるのえんそく」「にげたにおうさん」も愉快な話。漫画家の描いたユーモラスな絵がぴったり合っています。

初版は1953年。戦後の子どもたちが「質の高い絵本や童話に親しむ」ことを、心から願って企画されたシリーズの創刊号で、日本の絵本の草分けとなりました。今も子どもたちに人気のこの絵本を、ぜひお子さんと一緒にお楽しみください。

田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)

SNSでシェア

新着記事