5,000年以上昔、メソポタミアで粘土板に記された世界最古の物語の一つ、ギルガメシュ叙事詩を描いた絵本です。
太陽神によってウルクの都へ送られたギルガメシュ王は、大きく、強く、何でも知っていましたが、しあわせではありませんでした。心を許して話せる友達がいない孤独な王は、誰も信じられず、人々に自分の強さを見せつけるために、都のまわりに高い城壁を築こうと人々を昼も夜も働かせ続けます。疲れ果てた人々からそのことを聞いた太陽神は、同じように強いエンキドゥという人間を作らせ、今度は動物と暮らすよう森へ送ったのでした。
人々を治める立場の人間のあり方については、はるか昔も今も変わらない重要な問題です。誰もが安心し希望をもって生きてゆけるよう導いてほしいものです。
田野辺淳子(絵本の家「ゆきぼうし」スタッフ。2001年「ゆきぼうし」のある守門村(現魚沼市)に家族で移住。仕事をしながら「ゆきぼうし」スタッフの活動を続ける。)