情報を伝えることがマスメディアの専売特許でなくなってから久しいです。私の専門である国語科教育学の領域でも、もう20年以上もメディア・リテラシーが研究されていますが、研究すればするほどその多様な側面が認識され、かえってメディア・リテラシーの決定的な内容が分かりにくくなってきています。

本書は、新聞記者や海外特派員の経験をもつ著者が、特に事実を伝えることを主眼としたニュースについて限定して、事実の構成、ニュースの作られ方、メディアの仕組みなどを分かりやすく解説した、ニュース・リテラシーの入門決定版ともいうべき新書です。私のように、多くのメディアに囲まれて途方にくれている人にぜひお薦めしたいと思います。

推薦者：足立幸子（新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。）