スペインのまきばでくらすフェルジナンドは、コルクの木の下に座って花のにおいをかいでいるのが好きでした。お母さんが心配しても、他の牛たちが闘牛になることを夢みていても、一人静かに花のにおいをかいでいたのです。ところがひょんなことから、フェルジナンドは暴れ牛と勘違いされ、マドリードの闘牛場へ連れていかれます。大観衆は拍手喝采、闘牛士もおじけづく中、あらわれたフェルジナンドは…。
アメリカで1936年に出版された本書は一世を風靡し、ディズニー映画やキャラクターグッズにもなったそうです。年月が経っても、フェルジナンドのように自分の世界を大切にし、穏やかに暮らしたいという願いは変わらないと思います。
黒一色の絵は陰影に富み、ユーモアたっぷりにお話を語ります。まさに絵本の古典!どうぞ子どもたちに読んであげてください。
田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に、本や昔話を楽しんで、28年目になりました。公共図書館や幼稚園でも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)