感染症への懸念や経済的格差の拡大などの社会的な不安の拡がりを感じているのは、大人だけではありません。冒頭で指摘されるのは子どもたちの危機的な状況です。子どもを守り、強い心と体を育むために保護者は何をしたらいいのか。小学校で30年間養護教諭として働いてきた著者が、その経験から得た知識でアドバイスします。
もっとも大切なことは、子どもをよく「みて」、子どもの「きいて!」を逃さないこと。「みる」と「きく」をスムーズに行うために、大人は五感をフルに働かせなければいけないこと、子育ては子どもを従わせるのではなく、その心をいかに汲んで信頼関係を結ぶかにかかっているということが、よくわかりました。
たとえ忙しくても、子どもと共に暮らす大人が見逃してはいけないポイントや小学生のうちに良い習慣を身につけることが必要な理由など、保健室の先生ならではの助言が詰まった本書。悩み多き子育て世代の方々にお勧めします。
推薦者:大野 孝子(新潟市立新津図書館)