大人の本棚・こどもの本棚

伊丹十三選集 3 日々是十三

SNSでシェア

今でこそ、子育てを男性が行うことは当たり前ですが、かつてはそうではありませんでした。出版においても、育児本や子育てエッセイを書くものは、小児科の医師を除くと、ほとんどが女性中心。現在は、多様化しており、イクメンや主夫として育児について堂々とSNSで書いたり、書籍になって刊行されていたりしています。

それでは、男性育児本の先駆者はといえば、伊丹十三もその一人として挙げられます。彼は映画監督の傍ら、名エッセシストとして作品を残しており、「ヨーロッパ退屈日記」「女たちよ」など著書が多数あります。そんな中で、2人の子どもの育児について盛んに言及されています。

男性の育児に対する偏見やプライドを破り捨て、失敗もつつみ隠さず、子育てに向き合う彼の美学が貫かれています。決してダンディズムを失っていないところに、いまだに、読まれる名著たる由縁がある気がします。

岩波書店から全集が刊行されています。

中山 英(萬松堂本店店長兼出版社島屋六平出版営業課長。1児(3歳娘)の父。育児と読書の日々を過ごしています。)

SNSでシェア

新着記事