昔おじいさんとおばあさんが、森で足の折れたかもを見つけ、家に連れて帰りました。その日から、二人が留守の間に、部屋は片づけられテーブルにはおいしそうな料理が並ぶようになります。ふしぎに思ってこっそり見ていると、美しい娘が一生けんめい家の仕事をしていたのです。おじいさんたちは、うちの子になってほしいと願いますが、娘は姿を見られたらもう一緒にくらせない、と言って…。
日本の昔話に似ているところも異なるところもあり、国は違っても人間には共通の感情があることも感じられます。
絵がとても美しく、暮らしぶりや衣服などから、お国柄が伝わってきます。
以前、ウクライナ人の英語の先生に、お話会をしていただいたことがありました。先生はこの絵本のような美しい民族衣装を着て、母国のことを話してくださいました。袖の刺繍には、何世代家族か、結婚しているかなど意味があるそうです。
あの有名な昔話『てぶくろ』をウクライナ語で読んでもらい、言葉の響きやリズムを、子どもたちと一緒に味わいました。
国は違っても、人との交流や本を通して、心を通い合わせることができる、と実感しています。
なお、現在こちらの絵本は品切れとなっています。図書館などでお探しください。
田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)