主人公のエイミー・アンは、アメリカの内気な小学校4年生の女の子です。本が大好きで、いつも学校図書館の本を借りています。ところがある日、お気に入りの本が学校図書館では貸出禁止となってしまったのです。そこでエイミー・アンは、行動を起こします。貸出禁止となった本を調べ、家の人に買ってもらったり友達に借りたりして入手し、できるだけ読むことに決めます。また、弁護士志望の親友レベッカや他の友達の協力も得て、入手した貸出禁止図書を他の子どもたちにも貸し出す「ロッカー図書館」を始めるのです。
この本を推薦したい理由は2つあります。1つは、子どもたちが感情をてこにして、様々な工夫をこらし自分の思いを遂げようと努力する中で、社会の仕組みを知ったり、他人を深く理解したりして、成長していく姿が豊かに描かれていることです。もう1つは、禁書の意味を改めて考えさせてくれることです。確かに子どもは有害なものから守られるべきであり、学校図書館は相応しい本を選定します。つまりこれは、不適切な本を排除するということです。しかし一方で、学校図書館は子どもが様々な世の中の事実や多様な人々の考え方に出会う場所であってほしいと思います。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)