大人の本棚・こどもの本棚

ケンスケの王国

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父・母・愛犬とともに、ヨットで世界一周の旅に出ていたイギリスの少年マイケルは、オーストラリアを過ぎたところで、ちょっとした不注意が原因で愛犬と海に落ちてしまいます。少年と犬は無人島に流れ着いて助かりましたが、実はそこは無人島ではなく、旧日本兵のケンスケが住んでいました。マイケルは、最初はケンスケに警戒心を持ちますが、やがて交流を深めていきます。

旧日本兵が出てくるからと言って、これは単純な反戦や平和の物語ではありません。むしろ、マイケルの父母や友達の性格、マイケルの逡巡や思慮深さなどが、緻密にかつ幼い読者にも分かる平易な語彙で描かれているところに、この本の価値があると思います。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)

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